2015年9月30日水曜日

新井淳夫/フランスの最も美しい村々  第5章

こんにちは、スタッフの二宮です。

「新井淳夫/フランスの最も美しい村々  第5章」始まっています。




新井淳夫さんは、2010年より「フランスの美しい村」を訪れ、
2013年まではフランスに滞在しながら、
2014年からは日本に戻り、年に一度フランスへ訪れながら、
その村の美しい様子を描きとめ、
毎年この季節にタンバリンギャラリーにて展示をしています。

第1章から第4章までの様子は、こちらのブログでご覧いただけます。
フランスの最も美しい村(仏:Les plus beaux villages de France)とは、
歴史遺産の価値の向上、保護、そして観光を促進する目的で、
1982年にフランスのコレーズ県でその協会が設立され、
いくつかの厳しい条件をクリアした村が、認定されています。

今年はフランスの中央高地オーヴェルニュ(Auvergne)地方の3県7村をを巡った様子。
オーヴェルニュ地方は、ミネラルウォーターで有名なヴォルヴィックの採水場のあるところで、
山の勾配もあり、その中を、バス、電車、タクシー、徒歩、あらゆる手段で巡りながら、
ひとつひとつの村を絵に収めています。






気に入った場所があると、その場で、紙を広げ、竹ペンで墨を使ってエスキースをします。
着彩は、日本に戻って来てから。
絵を描いている間、猫がじゃれてきたり、野うさぎがいたり、リスが走り回っていたり、
トカゲと一緒にバスを待ったり、カップルが覗き込んで来たり。
そんなエピソードと共に、ひとつひとつ臨場感のあふれる絵がギャラリーの壁一面を飾っています。

今年は高気圧の異常な発達で、異常気象が続き、ヨーロッパは6月でも、
35度、36度、37度、、しまいには39度にもなる暑さで、
自分の足で村を周り、気に入りの場所を見つけ、絵を描くという行為は
なかなか心身ともにこたえるものがあったようですが、
「日本と違い、空気が乾いているのでカラリとしている。ビールがうまい。」
といってのける新井さんの飄々とした様子も面白く。

正方形の大きな絵は、展望台からさらに100mほど上からの目線で描いています。
異常気象のせいで、草がぼうぼうにのび、展望台の位置から描こうとすると、
伸びすぎた草により村が埋もれてしまうからだそうです。
村は、ぎゅっと、ひとかたまりになっていて、それは日本にはない風景だそうで、
とてもかわいらしく見えてきました。






「バラの村を描いた。」という大きな作品は、余白部分に銀箔が貼ってあります。
その銀箔が酸化して、黒っぽくなっているもの、もしくはかわらず銀のもの、とあって、
その違いも興味深く美しくあります。新井さん云く、

「銀箔が酸化していくということはつまり、枯れて行っているということ。
それはつまり育っている絵、ということになる。」

とのことでした。

フランスの美しい村は、新井さんが描きはじめた2011年当時、
156村あり(以後、増減があるそうです。)新井さんは今回の滞在で合計89村を訪れ、
その様子を絵に落とし込んでいます。

全部制覇したら、どうするんですか? と聞いてみたら、
「終わることはないから。イタリアにも、スペインにも、日本にも(!)美しい村があるから、描き続ける。」との答えが返ってきました。
まだまだ、新井さんの制作欲、美しいものを見たいという欲求は、
留まることを知らず、冒険は続くようです。





続けていくということは、そのためにかかる年月とともに、生み出されていく物量は増し、
ものすごい説得力で語りかけて来るものがあります。
新井さんは、会期中、毎日在廊の予定です。
是非お越し頂いて、美しい村を見ながら、言葉を交わされてみてください。

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Atsuo Arai
Les plus beaux villages de France - chapter cinquième -


2015/09/29(火)〜10/04(日)
11:00〜19:00(最終日〜18:00)
 ※レセプション 09/29(火)18:00〜20:00

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いとけん「リフレッシュール」
2015/10/06(火)〜10/11(日)
11:00〜19:00(最終日〜18:00)

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