2014年4月23日水曜日

「Knitting you Sewing me」展 


こんにちは、スタッフの二宮です。
「Knitting you Sewing me 」展が、スタートしました。




この展覧会は、縫う、編む、刺す(刺繍)の技法で、
独特の表現を試みるアーティスト9名に注目し、
ここタンバリンギャラリーにて一斉にご覧頂くというもので、
企画を今回は私が担当させていただきました。


一口に「縫う、編む、刺す(刺繍)」と言っても、
その表現方法は千差万別で、また手法を限定することによって、
ひとりひとりのカラーが色濃く現れています。

2週間続く展覧会の始まりとして、ダイアリーでは
9名のアーティストの紹介をしたいと思います。
会場に入って右側より奥へとぐるりと回る順番です。






<言語、現代家族などを主題として刺繍やインスタレーション作品に落とし込む。>
どの作品もメッセージ性があり、時にどきっとしたり、
頭にこびりついて離れなくなる作品群です。
「たとえば新聞記事にしてしまうと堅くて入り込めないものも、
見た目が美しかったり綺麗だったりすると入りやすい。
そういうアプローチの仕方ができるのがアートのいいところだと思うんです。」
とクラークソンさん。
表面に見えるもの、その奥に含まれるものまで読み取って行くところに
見る側としての醍醐味を感じます。


<Apple製品や基板、文字などを「鉛」や「手刺繍」にて再現。>
エアパッキンでつくったMacBookAirや鉛でつくった鉛MacBookなど、
手刺繍とは対局にあるようなデジタル製品を、
刺繍の素材には選ばないようなもので表現しています。
精神的にはかなりのマニアックだけれど、
出来上がるものは明快で、潔く気持ちがいいです。
機械的なものを題材にしても、
どうしても出て来てしまう手刺繍による手の癖、ゆがみ、に愛嬌を感じます。
大きな物は年単位での制作になるとか。まるで伝統工芸のようです。


3. 203gow
<編み師。風変わりな編み物作品 「へんなあみもの」を作り続ける。>
会場総てを覆い尽くすほどの勢いで「へんなあみもの、いきもの」が
林の中に生息しています。
サイケデリックな色彩が目に刺激を与えてくれますが、
寄り添うと毛先がやわらかく、ふわっとした温もりを感じます。
「このまま僕も編み包まれたい。。」という声も聞こえました。
そして「ええ、私もよ。」と思いました。






<モノクロ写真に直接刺繍を施し、写っている人々の視線や音など、
目には見えないがそこに存在する何かを糸を使って表現する。>
古いモノクロ写真から飛び出す目線の糸は蛍光色に近いハイトーンなもので、
過去だけれど未来的、アナログなものがデジタル的。
完全に「手」を感じさせないものの、機械ではできない作業に
目を見張るものがあります。文字通り、目を見張る作品群です。


<糸編家。レース編みのアクセサリー製作。>
針のような細いかぎ針で、レース用の糸を使い、1本1本で編んでいくという
とても繊細な作業で制作されています。
既製品の糸の色はどれも鮮やかすぎて、ポップになってしまうからと、
使用する糸もすべてご自分で染めているそうです。
草花や野菜の、落ち着いた色合い、ドライな質感が、
いつか枯れてしまうその直前を永遠に留めたようで、
繊細で美しい作品群です。


<刺繍作家。刺繍糸は一本取り、独特な質感を持つ、
布と糸で構成されたイラストレーション作品を制作。>
モチーフは自分の興味のある昭和歌謡のレコードジャケット、映画の1シーンなど。
「一度オシャレなものを題材にしようとしたんですけど、
どうしても昭和になってしまうんですよね。」
というのはきっと、その独特の刺繍の施し方により、
どんな髪型の人を描いても、頭がパンチパーマになってしまうからでしょうね。
百恵ちゃんが大好きなのだそうです。百恵ちゃんへの愛が溢れています。





<ハンドニットブランドan/eddyのデザイナー。>
ここタンバリンギャラリーからスタートする「花とキャビア」の第一章。
痕跡と五枚の鏡。
5枚の鏡は、「Knittinmirrorwork 写るあなたに寄生するニット」です。
蓮沼さんは作品とご本人が同化しているようです。
「命をわけあっていますから」と蓮沼さん。
危うく強く美しく。
見ているとだんだんと、心の中にまで寄生されていくようで
危険で魅惑的な作品群です。


<刺繍でその物を覆い尽くす「総刺繍」の方法で、作品を制作。>
糸を重ねるほどに厚みを増す物質としての量感、時間の蓄積、
温もりや恵みやゆらぎなど、感じていただければ、と思っております。
着るもの、履くもの、眺めるもの、3点を展示しています。


9. Nukeme
<洋服を一種のメディアでありコミュニケーションツールであると捉え、
ファッション・アイテムを支持体とした作品を制作。>
データを読み込ませることでその通りに刺繍をする刺繍ミシン、
そのデータをテキストエディットのようなソフトで書き換え、データを壊し、
既存のロゴデータを新しいデザインとして洋服に落とし込む。
グリッチ刺繍の作品が5点展示されています。
そもそもグリッチに興味があるところから活動が始まり、
今は刺繍の技法を使用しているとのこと。
IT世界ではほぼ毎日のように目にする有名なロゴを壊し再構築していることについて、
その目線はパンクではなく、新しいものの見方を提案してくれているかのようです。

グリッチ(glitch):電子回路に生じるパルス状の雑音のこと。
また、電子音楽やコンピュータグラフィクスなどの分野で、
表現の一部として意図的に雑音を取り入れる手法を指す。


9名のアーティスト、テンションの差はあれど、
制作に向かうストイックさが共通しているように感じます。
ストイックだけれど、アウトプットは明快で、
綺麗だったり格好良かったり、面白かったり温かかったり怪しかったり。
その感覚は、見る人へと開かれたもののように感じます。


画面では伝わりづらい質感を、ぜひ会場で感じていただければ幸いです。


会期中は、203gowさん、蓮沼千紘さんによるワークショップ、
esara cafeによるカフェの出店、ライブ編みなど予定しています。
詳細はコチラをご覧ください。

今回、この展覧会を開催するにあたって、多くの方のご協力を頂きました。
ほんとうに感謝の思いでいっぱいです。ありがとうございます。

それでは、会場にてお待ちしております。

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ー 縫う、編む、刺す、糸や布やその他を ー


2014/04/22(火)~05/04(日)
11:00~19:00(最終日~18:00)※04/28(月)休み
OPENING PARTY 04/22(火)18:00~20:00


クラークソン瑠璃 刺繍する犬 jungjung 203gow 二宮佐和子 
Nukeme 蓮沼 千紘(an/eddy) まるやまあさみ Mana Morimoto

<KYSMDAY>
 04/26(土)、27(日) 各1回目 13:00~15:00  2回目 16:00~18:00

 04/30(水)、05/03(土) 各1回目 13:00~15:00  2回目 16:00~18:00

◎203gow ライブ編み 
 05/04(日)

◎esara cafe
 05/03(土)05/04(日) 12:00過ぎから
 Knitting にちなんだフードの乙女ワッフル。
 珈琲、ワインなど飲みものと一緒にご用意してお待ちしております*
 

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2014年4月16日水曜日

渡邉知樹展 Hidden

こんにちは、スタッフの二宮です。
渡邉知樹展 Hiddenがスタートしました。




渡邉知樹さんは、年に数回の個展をメインに、
渋谷パルコ、ラフォーレ原宿などのイベントに参加しながら制作を続ける画家。
これから絵本を発表する計画があり、
今回のプロフィールには「絵本作家」と記してあります。


今展は、
Hidden≒隠されたモノをテーマにした水彩画と鳥オブジェの展示です。





渡邉さんの言う水彩画とは、水に溶ける絵の具、の意で、
アクリル絵の具に水性インクを混ぜたり、ボンドを加えたり、
こすったり引っ掻いたり、一度紙やビニールに描いた物を転写したりと、
手法は様々。
発色のきれいなもの、落ち着いたモノクロのものが、壁に並び、
かれこれ7年くらい作り続けている鳥のオブジェは、60点近く、
すべて違う色や柄が施され、群をなしています。






絵を描くとき、渡邉さんは、
ほとんどの場合、なにも決めないで描くそうです。
下書きやラフもなく、頭のなかのイメージも作らず、着地点も決めずに描いていきます。
描きながら、天地もぐるぐる変わるし、
だんだん進めて行くうちに、この辺かな〜と、終わりが見えてくるそう。
「紙が好きだから、紙の部分を残しておきたい。
紙にお化粧するようなイメージかな。」と。
描き上がったものを、しばらく間を置いて見て、タイトルを付け、
ああ、こういうのが描きたかったんだな、と気付くそうです。
「自分の描いた絵を見ている目線は、他者の目線と同じなんだと思う」と。




紙を選び、額を選び、キャプションを用意し、
そのひとつひとつが丁寧に行われていて、
見る人に、きちんと見てもらいたいという気持ちが伝わってくるようです。

そうやって、自分の内面とコミュニケートしながら、
他者とも関わろうとする姿が、まっすぐ感じられ、気持ちが良いのです。




渡邉さんの制作風景を、
友人であり、写真家の添田康平さんが撮影編集し、
“be at work vol.1 渡邉知樹”として、1つの映像作品に仕上げたものが、
会場で流れています。
こちらもとても丁寧に作られています。
映像の中で流れるピアノは渡邉さんが演奏しているもの。雨音のようでずっと聴いていられそうです。




渡邉さんは、毎日終日在廊予定。
初日いらした方の多くが、渡邉さんに、技法や素材などについて
聞いていたのを見受けました。

ぜひ、絵を通して、また会話をしながら、
コミュニケーションしてみてください。

会期中は、渡邉さんのライフワークでもある似顔絵も描いたりしています。
B3サイズ、希望者には、B全でも描きますと!




19日土曜日には18時よりささやかなクロージングパーティーが開かれます。
どなたでもご自由にお越しください。
そして今後の予定は、

2014年6月19日(木 )~7月1日(火 )
“水のことだけ考えていた”
吉祥寺・にじ画廊にて
個展。水彩画、鳥オブジェの展示。

2014年8月26日(火 )~31日(日 )
“ノスタルジア”
恵比寿・ギャラリーmalleにて
玉野太一(花道家 )との2人展。
水彩画と鳥オブジェと花の展示。


と精力的に活動は続きます。


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2014/04/15(火)〜04/20(日)  
11:00~19:00(最終日〜18:00)  
レセプション:04/19(土)18:00〜   

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2014/04/22(火)~05/04(日)
11:00~19:00(最終日〜18:00)※04/28(月)休み
OPENING PARTY 04/22(火)18:00~20:00

クラークソン瑠璃 刺繍する犬 jungjung 203gow 二宮佐和子 
Nukeme 蓮沼 千紘(an/eddy) まるやまあさみ Mana Morimoto 

2014年4月9日水曜日

dope個展「1851」


こんにちは、スタッフの二宮です。
dope個展「1851」がスタートしました。




dopeは、1851年に発明された写真技法を用いて
自作のカメラで作品を制作しているアート集団。
コラボレーションして発表したスリリングな作品群も記憶に新しく、
今回は初個展となります。

1851年に発明された写真技法、写真湿板とは
「写真術で用いられた感光材料の一種で、ヨウ化物を分散させたコロジオンを塗布した
無色透明のガラス板を硝酸銀溶液に浸したものである。
湿っているうちに撮影し、硫酸第一鉄溶液で現像し、シアン化カリウム溶液で定着してネガを得る。
日本語ではコロジオン湿板、または単に湿板と呼ばれる場合も多い。
(wikipediaより)」
坂本龍馬の肖像写真なんかは、代表的なそれです。




dopeはスケボーを通じて知り合い、活動をスタート。
自作のカメラで写真を撮り、自作の額縁に額装する、というスタイルで、
総ての行程を自分達の手で行っています。
大きな写真を撮るには、大きなカメラが必要なため、自分で作る。
厚みのあるガラス板を額装するための額が他にはないから、自分で作る。
「ないから、作ってるんです。基本、なんでも作れますよ。
シンプルなものだったら笑。」と語るのは谷口さん。
できあがった作品は非常にクールで、ふたりとも飄々としていますが、
そうサラリと言ってしまえるには、かなりの技術と情熱が注がれていると感じました。





普段はフリーランスのカメラマンとして
デジタルカメラで撮影をしている小山さんは、
「デジタルになると撮影そのものよりも、画像処理の方が重要になってくる。
そこへ写真を撮るということへの矛盾と反動があって、
この方法で撮影することがすごくしっくり来ています。」と話していました。
「薬品の定着具合も、気候や天候で変わってくるから、
何をどういった条件で撮るか、というところまで計算して撮影する、
その行程すべてが、面白い。
そしてその作品は、100年たっても色褪せることなく残るんですよね。」






今回展示しているのは、dope周辺の物、人、植物、風景など。
それからスケボーにまつわる作品と、
大友克洋氏の原画を河村康輔氏がコラージュした作品を
dopeが1M×1Mのサイズに撮影したもの、
dopeグッズとして販売する、スケボーをカットして作ったお香立ても、
すべて自分たちの手で制作しています。





「一日のうち、4分の3はスケボーしてー、って思ってますね。」と小山さん。
今後、dopeが何に注目し、何を100年残したいと考え、
どういう方法で形にしてくるのか、興味が尽きません。

さて突然ですが、最終日の13日(日)には、
タンバリンギャラリーがカメラになります。
ギャラリーの前の景色を、ギャラリー内に投影する。という試みで、
会場にいる人たちは、カメラの中で、その像をみることができます。
dopeが撮影で使うカメラの中を体験できる、ということです。
文章にすると、全然ピンと来ませんね。笑。
百聞は一見に如かずということで、とにかくいらしてください。
「その像が、めっちゃくちゃきれいです!」とdopeお墨付き。
参考までに、dope作の大型カメラがこちらです。





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2014/04/08(火)〜04/12(日)
11:00〜19:00(最終日〜18:00)


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2014/04/15(火)〜04/20(日)  
11:00~19:00(最終日〜18:00)  
レセプション:04/19(土)18:00〜